2009年1月27日火曜日

1938年 南京 1月27日

「南京の真実」(ラーベ著:講談社)より
1月27日
 今日は皇帝ヴィルヘルム2世の誕生日だ。ちょっとくらい皇帝をしのんだところでナチ党員であるということに傷はつくまい。私のように皇帝の時代に生まれた人間は、やはりそうすっぱりと忘れることはできない。ただし、私が懐かしんでいるのは皇帝ではなく時代だ。指導者としてはヒトラーのほうがいいと思っている。だが、よく言うように、思い出というのは心の奥底に染み付いている。皇帝の誕生日がめぐってくるたび、色鮮やかな制服に身を包んで喜び勇んでパレードをしていた人々の亡霊が現れるからだ。どの人もそれは誇らしげだった。今ではその誰もが、いやほとんどが土に帰っている。安らかに眠らんことを!

 ラジオ上海によると、フランス政府は、ジャキノ神父にレジオン・ドヌール勲章を授けることにしたそうだ。我々の経てきた道のり、15人ものメンバーが力を合わせ、艱難辛苦に耐えてようやく克服できた数々の困難を思うにつけ、この人が、一人きりでそれを成し遂げたと思うと信じられない気がする。叙勲も当然だ。
 今日、午前中にローゼンと車で東部地区をまわった。家という家は軒並み略奪されてがらんとしており、しかもそのほぼ3分の1が焼けていた。
 たった今、背筋が寒くなるような知らせが舞い込んだ。鼓楼病院の責任者マッカラムが、押し入ってきた2人の日本兵に銃剣で襲われ、のどをけがしたのだ。幸い命には別状ないらしいが、実にゆゆしき事件だ。直ちにアメリカと日本の政府に電報が打たれた。




「南京事件の日々」(ヴォートリン著:大月書店)より
1月27日  木曜日
 今日は飛行機がさかんに飛んでいる。たくさんの飛行機が北西方向へ飛んで行った。その中には重爆撃機もあった。城内にはありとあらゆる噂が広まっていて、なかには、中国兵がすぐ近くに来ていると考える人もいる。十分な衣服をまとっていない兵士たちは、厳しい寒さの中で難儀しているに違いない。
 今日紅卍字会【こうまんじかい(1)】が、「赤札」グループ向け、つまり無料米グループ向けの野菜及び食用油の調達費として200ドルを女子学院に交付してくれた。旧正月の贈り物である。
 北東の寄宿舎の浴室を使って浴場を開設することを計画している。余分な仕事が増えることになるが、多くの人々に喜んでもらえるだろう。第一の問題は石灰の入手で、第二の問題は、信頼できる運営責任者を見つけることだ。
 「最初の一ヶ月を回顧して」を書き終えた。数え切れないほどたくさんの邪魔が入った。今夜は時間をかけて読み返すのは無駄のような気がする。
 膨大な量の盗品が安全区に持ち込まれているのは頭が痛い。最初のうちは安全区は人の生命を救ったけれども、いまや盗品の蓄蔵と販売のための退避所になっている。街路には小さな店や露店が立ち並んでいる。このことから察すると、「老百姓」は大胆になり、安全区外の住宅に軒並み押しかけ、彼らが売りたい物や使いたい物を持ち去っている。今日ソーン氏が話してくれたところによると、安全区のちょうど境界ぎわにある彼の家から、危うくドアが持ち去られるところだったそうだ。安全区への盗品持ち込みは禁止しなければならないが、そうするには、持ち込む中国人を上回る大きな力を安全区側が持っていなければならない。マッカラム氏は、中華学校からこれ以上物が盗まれないようにするため、目下、そこに要員を投入しているところだ、と言っている。これから先の数ヶ月間にどんなことが起こるのだろうか。というのも、海中で炸裂する爆弾によっていっさいの滓(かす)と汚物が攪拌されるように、社会のすべての邪悪分子が解き放たれたように思えるからだ。

(1)紅卍字会は「道院」という新興宗教団体の社会慈善事業実行機関である。紅卍字会南京分会には会員300余人がいて埋葬隊を組織、南京自治委員会から資金援助を受けて死体埋葬作業を行った。中国赤十字会(中国語では中国紅十字会)は紅卍字会と違い、日本の赤十字にあたり、本部は上海にある。外国人が国際赤十字委員会を組織し、中国人が中国赤十字会を組織するという関係にある。


「Imagine9」解説【合同出版】より



9条がゆきわたった世界

 みなさんは学校で、どんな歴史を学んできましたか?
 国内で行われた戦国時代の戦い以外に、日本がほかの国々と行った戦争について、どのように教わってきましたか?
 多くの国々では、自分の国がいかに正しく、立派であり、誇らしいものであるかを繰り返し強調してきました。その影で、自分の国がほかの国の人々に被害を与えたことについては、忘れられる事が多かったのです。
「国のためではなく人々のために歴史を教えたい」そう願う日本、韓国、中国の市民や研究者たちは、一緒になって一つの歴史教材をつくりました。(日中韓3国共通歴史教材委員会編『未来をひらく歴史』、高文研、2006年)。傷つけた側、傷を受けた側が、共通の歴史をとらえ直そうとしているのです。
 イスラエルは、60年にわたりパレスチナの土地を占領しています。それが理由となって、中東地域全体で暴力の連鎖が続いています。そんな中にあっても、イスラエルの若者とパレスチナの若者が出会い交流を進めています。
 インドとパキスタンは、国境のカシミール地方の領有権をめぐる対立を60年間にわたって続けています。国境では衝突が絶えず、両国は核兵器をもちミサイル開発を続けながらにらみ合っています。それでも、平和を求める市民は、国境を越えた交流を進めています。
 南アフリカでは、人種隔離政策(アパルトヘイト)の中で白人が黒人を抑圧してきました。アパルトヘイトは終わり、「真実と和解委員会」がつくられ、過去を見つめて和解を進めました。それぞれの問題において、一人ひとりの「対話」で少しずつ、ゆっくりと解決をしようと努力が続けられています。


第九条【戦争放棄、軍備及び交戦権の否認】

1 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。


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