2009年2月3日火曜日

1938年 南京 2月3日

「南京の真実」(ラーベ著:講談社)より
2月3日
 収容所ではどこもかしこも似たような光景が繰り広げられている。うちの庭でも、70人もの女の人がひざまずいて、頭を地面にこすりつけながら泣き叫んでいる。なんという哀れな姿だろう・・・・胸がふさがる。みな、ここから出て行きたくないのだ。日本兵が怖いのだ。強姦されはしないかとおびえている。しごく最もな話だ。私はくり返し訴えられた。
「あなたは、私たちの父であり、母です。これまで私たちを守ってくださいました。お願いです、どうか見捨てないで!最後まで守ってください。辱められ、死ななくてはならないというのなら、ここで死なせてください!」
 胸がつぶれるようだ。その気持ちはいたいほどわかる。だから私はここに残ってもいいと言った。結局年寄りが何人か出て行っただけだった。
 日高氏の言葉は本当だろうか。日本軍は暴力を用いることはないといっていたが。だが今までさんざん煮え湯を飲まされてきたので、少々のことでは驚かないだけの覚悟はある。明日、委員会のメンバーはそれぞれ警戒を怠らないだろう。我々はいい加減腹に据えかねている。日本当局はやつらを「ならずもの」とか呼んでいるそうだが、聞いて呆れる。こっちじゃ「人殺し部隊」といってるんだ。そういう輩が今度は正々堂々と収容所へ入ってくるとなれば、ただじゃすまないだろう。
 今しがた張から聞いたのだが、私たちがかつて住んでいた家の近く、通りを入ったすぐのところの小さな家で人が殺されたそうだ。17人の家族のうち、6人が殺されたという。娘たちをかばって家の前で日本兵にすがりついたからだ。年寄りが撃ち殺されたあと、娘たちが連れ去られて強姦された。結局女の子が一人だけ残され、みかねた近所の人が引き取った。
 局部に竹をつっこまれた女の人の死体をそこらじゅうで見かける。吐き気がして息苦しくなる。70を超えた人さえ、何度も暴行されているのだ。
 日高氏に手紙を書いて、難民を力ずくで追い出すことはないという先日の約束を文書にしてくれるよう、また、その件について軍当局と是非もう一度話し合ってくれるよう頼んだ。

 江南セメント工場のシンバーグさんが、ギュンターさんの報告を届けてくれた。これを見ると、南京だけが日本兵に苦しめられているいるのではないことがわかる。強姦、殺人、撲殺。同じような報告が、四方八方から入ってくる。日本中の犯罪者が軍服を着て南京に勢揃いしたのかといいたくなる。
 ローゼンの内密の情報に間違いがなければ、私の勲章のコレクションは、近々もう一つ増えることになりそうだ。ドイツの赤十字勲章の候補になっているらしい。クレーガーやシュペアリングもそうだと言うし、私もじたばたせずに、成り行きに任せることにしよう。
 注・トラウトマン大使は、この3人を赤十字勲功十字章受章者に推薦した。



「南京事件の日々」(ヴォートリン著:大月書店)より
2月3日 木曜日
 ひっきりなしに雪が降っている。とても寒い。一棟当たりでおそらく900人以上いる二つの研究棟を除くすべての棟の避難民登録を終了した。乳幼児や病気の子どもたちに肝油と粉ミルクを配給する方法についての相談で、ルイス・スマイスが午前、そして午後にも電話をかけてきた。彼は、安全区委員会としては、収容所を管理している私たち全員に対し、避難民が帰宅する期日である明日はそれぞれの部署についているよう要望していることも伝えた。
 自分たちの家に帰らされるとは、住民にしてみれば何と恐ろしい決定だろう。帰宅すれば物品を強奪されたり、銃剣で刺されたりするだけでなく、強姦されるというきわめて重大な危険に依然としてさらされているのだ。きょうは、私たちの力の一部は、比較的年齢の高い女性にたいし、たとえ危険を冒しても帰宅するよう促すことに費やされた。若い女性たちがここに安全に留まっていられるようにするためである。
 かつて神学院の女子寄宿舎の舎監をしていた李さんが、神学院収容所の若い女性たちの要請をを受けてやってきた。彼女たちは、そこの収容所が閉鎖された場合、ここに来たがっている。若い女性は全員を私たちが船で上海に連れて行ってくれるという根も葉もない話を聞いたからだ。・・・・・


 今夜は目が充血して痛いが、程先生が手当てをし、眼帯をしてくれた。私は、4人の盲目の避難民女子に対し、これまでにもまして同情を覚えている。彼女たちは、どのようにしてあれほど快活になれるのだろうか。


「Imagine9」【合同出版】より



考えてみよう、

日本の憲法9条のこれから。



 日本が「9条を変えて、戦争に行ける国になるべきだ」と言う人たちがいます。誰が何のためにそう言っているのか、考えてみましょう。
 2001年の「9・11事件」以来、アメリカは「テロと戦う」といって、アフガニスタンやイラクなど世界のあちこちで戦争やその準備をしています。そしていろいろな国に「一緒に戦おう」と協力を求めています。日本の自衛隊はイラクに派遣されましたが、アメリカはこのような協力を、さらに本格的に日本に求めています。そこで邪魔になるのが、「戦争に参加してはならない」と定めた9条です。

 また、日本国内にも、戦争のためのミサイルやハイテク兵器をつくってもうけようという企業があります。彼らにとって邪魔になるのは、「武器を売ってはいけない」と定めた9条なのです。こうした理由から、アメリカ政府や日本の一部の大企業は、9条を変えたいと思っています。
 そうやって日本が「戦争できる国」になっていくことを、かつて日本に苦しめられたアジアの人々はどう感じるでしょうか。近隣の国々は、日本の軍事化をどう見るでしょうか。そして皆さんは、世界の中の日本のあり方を、どう考えるでしょうか。




第九条【戦争放棄、軍備及び交戦権の否認】

1 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。

2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。


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