2017年12月7日木曜日

731部隊の逃亡


731部隊隊員の大部分は中国の通化を経過し、丹東及び韓国の釜山を経由し帰国した。(『証言石井部隊』郡司陽子著)

・ハルピン・背陰河(ハイインガ)・通化(トンホウ)の位置


・郡司陽子の場合、門司に着いた。


・郡司陽子の場合、門司に8月22日頃着いたとあります。



●『【真相】石井細菌戦部隊―極秘任務を遂行した隊員たちの証言』の47ページから
郡司陽子編(1982年11月30日初刷:徳間書店)より
Ⅰ ファインダーがとらえた地獄 
   ―総務部調査課写真班 T・K
731部隊、最後の日々
その日のうちに(あるいは翌日かもしれない)、私たちは引揚列車に乗って平房を撤退した。最後まで残った写真班員2、3名、それにI調査課長も一緒だった。
 有蓋貨車に詰め込まれた私たちは、通化(トンホウ)を通って朝鮮に入り、金日成の生まれた町という江界(カンケ)に着いた。8月14日の夜だった。
 江界で一泊した私たちは、翌日、そこで日本の敗戦を知ったのだった。町には《民主朝鮮万歳》の文字が躍っていた。
 私たちは、引揚列車に、調査課図書室から貴重な医学書を持ってきていた。ドイツ語のものも多かった。敗戦の報とともに、それらを焼却することになった。まず、本に捺されている「石井部隊蔵書」という印を注意深く破り取り、それから焼くのである。それでも日本にないだろうといわれるほど貴重な書物は、I課長が焼かずに携行したようだ。
 列車を運転していた満鉄の中国人機関士は、もう列車を走らせないという。彼をなだめたり、おどしたりしながら、南下を続け、18日に京城(ソウル)に着いた。
 京城では、米軍機が空から、ウェーデマイヤー中将名のビラを撒いた。日本の敗戦を伝えるものだった。京城にも一泊することになった。私は朝鮮総督府と朝鮮銀行本店に行ってみたが、機関銃を据え付けた歩兵に守られていて、中に入ることはできなかった。満州でためた私の貯金は、この時を境に私とは無縁のものとなってしまったわけだ。



●731細菌戦部隊 1(前編:プライム10) よりの書き起こし
本部にいた731部隊員は石井部隊長が手配した列車に乗り込み撤退した。
石井は、専用機を使って、証拠湮滅の為に奔走していた。
731部隊大連出張所総務部長だった目黒正彦さんは、このとき、石井と大連で出会っている。
「あのハルビンの本部が全部、満鉄の、借り切って朝鮮の方へ逃げ切っちゃったんですよ。それで、石井さんが、その前にハルビンの部隊が全部無くなったかどうかそのフィルムを私のところに持ってこられて、それを全部現像焼付けして、それで陸軍省へ持っていったんです。最後です。」
石井は破壊後の731部隊本部の様子を撮影し、陸軍省へ提出していた。完璧な証拠湮滅が求められていたのである。
隊員たちは朝鮮半島を南下。膨大な研究資料や物資を貨物船に積み、釜山港を出航した。
貨物船が目指したのは、山口県仙崎港であった。
「3000トンの貨物船2隻は仙崎港に着岸しました。800トンの上陸用舟艇は全部萩港に接岸しました。これが全部25日の午後5時ですね。」
8月25日3000トンの貨物船2隻から大量の物資が降ろされました。
そしてこれらの物資は、あらかじめ決められていた保管場所へと密かに送られていった。
間もなく、731部隊員に解散が言い渡された。
石井は解散に先立って、部隊員に次のような命令を下していた。
「第1項は、部隊の内容は秘匿せい。隠せ。連合軍による尋問を受ける場合には、防疫給水業務に従事しとったと答えよ。
第2項目目は、官公庁に就職するな。
第3項目目が、隊員相互の連絡はするな。」
石井は占領軍による追及を恐れ、部隊員たちに機密の保持を厳命したのである。
こうして731部隊員たちは、日本全国に散っていった。


●細菌戦を支えた民間「同仁会」
京大閥「731部隊」、東大閥「同仁会」   
 昭和20年8月13日、生き残った中国人、ソ連人などを虐殺、焼却し、あらゆる証拠を湮滅、監獄を破壊し、ハルピンを出発するまでに4日の日数を要して731部隊の主力は日本に向けて脱出を開始した。中国人機関士を憲兵が抜刀して脅迫しつつの逃避行であった。残務整理に当たった幹部たちは、後から2部所有の飛行機で逃走した。
 約千数百名の列車による逃亡者たちは8月16日安東通過、8月21日から23日にかけて釜山港出帆、そして仙崎、萩、新潟などに上陸した。
 平壌には飛行機がいち早く到着していた。そして飛行機組の多くは埼玉県の熊谷飛行場に向かった。なかの1機は平壌着陸の際に翼を接触して翼端1メートルほどもぎとられ、放棄せねばならなかった。羽田や厚木の飛行場に着陸しなかったのは米軍の進駐を恐れてのことであったことと、パイロットが熊谷で教育を受けた者が多かったからであろう。



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