軍拡と縁を切ろう。核兵器をおさらばしよう。永山茂樹さん(東海大学法学部教授)
1、大軍拡はどこまで来たか
22年の安保三文書は「敵基地攻撃能力の保有」「武器輸出立国」などと並び、軍拡財政の目標を具体的数値で示しました。それによれば、23から27年の5カ年で軍事費の総額を43兆円に、また27年にはGDP比2%にするというのです。
こうして「岸田大軍拡」がスタートしました。ところがその速度は、三文書の予定を上回っていました。26年度予算案で軍事費は史上最高額の9兆円余になります。もうこのまま増額しなくても、27年までに43兆円に達することが確約されました。
GDP比1%枠(76年)は、安倍内閣ですら守らざるを得ませんでした。それくらいの「重み」があった数字のはずです。それを三文書で倍に引き上げたのですから、高市内閣は、27年度まではGDP2%枠の中でいかなければなりません。そうでなければ「枠」を決めた三文書の顔が立ちませんね。
ところでトランプは、GDP比3.5%の軍事費を支出するよう、日本に要求しているらしいのです。日本の予算は米大統領が決める、と誤解しているのでしょうか。しかしこの誤解には、言いなりだった 歴代政府の側にも責任があります。「誤解を与えたとすれば申し訳ない」という例の文句は、こんな時のため。
「誤解を与えたとすれば申し訳ない、日本の予算は日本の国会で決めるのだ」と首相はきっぱり断るべきです。
2、大軍拡は、私たちの生活を破壊する
大軍拡という裏付けを得て、日本の「戦争をする国」化が進められてきました。
横須賀などを母港にする護衛艦には、トマホークが配備されようとしています。また熊本市内の自衛隊駐屯地には、地対艦ミサイルが置かれようとしています。いずれも中国本土を射程に入れた長距離ミサイルです。こんな物騒なものが置かれた町は、相手からの攻撃対象に選ばれるかもしれません。 住民の「平和のうちに生存する権利」(憲法前文)を侵害するものです。
防衛省の有識者会議(25年9月)は、原子力潜水艦の建造を提案しました。原潜にミサイルを載せ、世界中どこからでも中国を攻撃できる海軍にするのでしょうか。しかしこの提案は無責任です。そもそも原潜は核のゴミの源泉。福島の汚染土すら置き場のない日本なのに、この上、耐用年限の切れた原潜から出る核のゴミをどこに捨てるのでしょう。
3、東アジアが核の共倒れをしてはいけない
高市内閣は、「台湾有事=存立危機事態」発言の火消しに追われています。しかし「覆水盆に返らず」で、口にしたら元に戻らないのです。
それに首相が「従来の憲法解釈から変わっていない」と言い繕っても、台湾有事における日米共同作戦計画は、米軍と自衛隊の一体化した軍事行動を予定しています。首相が発言を実質的に撤回するのなら、日米共同作戦計画も、大軍拡も、そして安保条約も廃棄しなければならないことは明らかです。
いま東アジアは、世界で最も激しく軍拡が展開する地域の一つです。しかも核兵器を保有する4カ国が角を突き合わせています。そういうギリギリの生活は、ここらでやめませんか。東アジアの民衆が平和に暮らすため、核に依存する見せかけの安全(これを「核抑止」信仰と言います)と縁を切り、 全ての関係国・地域(核兵器を保有しない日本・韓国・台湾・比・豪州も含めて)が核兵器廃絶に進まなければなりません。
そんな中日本が原潜を持つのは、「核の平和利用」という原子力基本法の原則を投げ捨てることを意味します。それは核兵器の廃絶を目指し核兵器禁止条約(TPNW)に結集した世界の人々に対する裏切りです。そればかりか、核の拡散を統制する不拡散条約(NPT)の力を弱めることにもなります。
官邸幹部による「非核三原則の見直し」発言も、これと同じ性質の問題です。とりわけ有事において「(米軍が日本に)核兵器を持ち込むことを許容すれば、それは東アジアにおける愚かな軍拡競争を促すことになるでしょう。



































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